【取材】3歳直前で飼育放棄された18歳の「ちび」。辛い過去を消し去るほどの深い愛に包まれてレジェンド年齢に。
12歳を超えても元気なダックスを、憧れと敬意を込めて“レジェンドダックス”と呼ぶことに決定! その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドダックスの肖像』です。今回登場するのは、18歳のちびくん。徹底した食事管理と体調管理、そして寂しくないようにというメンタル管理などで、18歳でも介護が必要ないほど元気な男の子です。しかしこんなにも愛してくれる家族と出会う前には、辛く悲しい経験が…。
ちびくんプロフィール
年齢&性別
18歳の男の子
体重
3.3kg(MAX 6.3kg)
大好きなこと
オーナー・牧野さんの側にいること!
既往歴
・3歳で膀胱炎と尿路結石。
・シニアになり軽い胆泥症と高脂血症。
出会いは突然に
ちびくんの元々のオーナーは、牧野さんのお父さんが管理していたマンションの住民でした。
「事情はよく分かりませんが、父がよく声をかけたりしていたせいか、3歳直前だったこの子を“もらってほしい”と置いていったそうです。
父は突き返したり放っておいては可哀想と思ったらしく、私に連絡してきて。
私の息子が犬を欲しがっていたので、いつか迎えたいという話はしていましたが、こんな形で実現するとは思いませんでした。
犬を迎えるのは初めてですし、どんな飼育状況かも分からなかったので、最初は大変なことが多かったですね」(牧野さん=以下「」内同)。
前のオーナーさんから“これを朝晩、食べさせてください”と渡されたのは、チーズ2本だけ。リードなどの状態も悪かったため、ペットショップで相談しながら必要なものを揃えました。
血統書もありませんでしたが、後日に何とか連絡を付けて取り寄せたそうです。
それから病院で検診とワクチン接種を受け、痩せ過ぎという指摘はあったものの、幸いそれ以外の問題は見つかりませんでした。
ところがその直後に血尿が出てしまい、また病院に行くことに。
診断は膀胱炎で、投薬で無事に治りましたが、トラブルはそれで終わりではありませんでした。
結石で緊急手術
膀胱炎が治ってしばらく経った頃、今度は尿と一緒に何か小さな物が出てくるようになりました。
「何度も出てくるのでまた病院で診てもらったら、尿路結石でした。それでフードを変えましょうということになり、pHコントロールの療法食に変えました。
でもその数日後、トイレからなかなか出てこなくなり、見てみると尿が少ししか出ずに詰まっている感じでした。
それでまた病院に行ったのですが、状態が悪くその病院では対応できないということで、もっと大きな病院を紹介してもらいました。
するとすぐに手術が必要と言われ、そのまま手術して入院することになったんです。手術は、肛門の下におしっこ用の穴を開けるというものでした。
手術は無事終わり、1週間程入院して帰ってきました。その後は、しばらくおしっこのときに出血があったくらいです」。
トラブル続きでちびくんも牧野さんも大変でしたが、これ以降は大きな症状も出ず、また他の病気もほとんどなかったそう。
シニアになって軽い胆泥症や高脂血症になった程度で、健康に暮らすことができました。
ずっと続けたpHコントロールの療法食など、食事にしっかり気を付けたことが功を奏したようです。
療法食の日々
長年犬と暮らしてきた知人から、“食べ物だけは良いものを”とういアドバイスを受けていた牧野さん。
ちびくんが結石のできやすい体質だったこともあり、食事には色々と気を遣ってきました。
「結石予防の療法食は、一度良いものを見つければOKというわけではなく、症状に合わせて何種類も変えるんです。
症状がないときも、療法食以外のものに変えるのは不安なので、最近までずっと療法食を続けていました。
ですが今年に入って療法食を食べなくなってしまい、お医者さんに相談したら“まず食べることが大事だから、pHは気にせず何でもあげていい”と言われて。
今はウェットフードやトッピングなど、日々試行錯誤しながら食べさせています。
それから胆泥症になった時はプラセンタの粉や薬膳フードなども試しましたが、あまり効果が見られなかったので止めました。
薬の『ウルソ』だけはその時からずっと飲んでいますが、それもお医者さん曰く現状維持くらいの効き目らしいので、定期検査は欠かさないようにしています」。
そのほか、おやつや人の食べ物もあまりあげないようにしていたそう。特に肉類は避け、一部の果物や野菜など、定期的に尿検査をしながら大丈夫なものだけをあげていました。
ダイエットは無理なく
もう一つ食事で気を付けていたのが、体重のコントロールです。
「迎えた当初は痩せ過ぎだったので、とにかく太らせなくちゃというのが頭にありました。それでたくさん食べさせてたら、6.3kgくらいまでいってしまい、1年かけて5.3kgに落としました。
しばらくそれをキープしていたのですが、10歳過ぎてからお医者さんにもう少し落とそうと言われ、4.5kgまで減らしました。このときも1年かけて減量しています。
ダイエットのときは、ごはんのかさ増しにキュウリを入れていました。歯応えがあるので満足感があるかなと思って」。
無理をさせず、1年かけてじっくり体重を落とすのはとても良い方法ですね。根気は必要ですが、愛犬の身体と心のストレスはぐっと軽減されると思います。
なお理想体重はシニアになると歳と共に減っていくため、現在のちびくんは3.8kg程度が理想なのだとか。
今は療法食を食べなくなったこともあり3.3kgまで減ってしまったので、食欲増進と増量に取り組まれています。
結石予防などの定期検診に加え、体重も細かくチェックしていた牧野さん。目で見るだけでは分からないことも、しっかり“観察”してきました。
ハイシニアの暮らし
食事を中心とした健康管理で、無事に成犬期、シニア期を過ごし、いよいよハイシニアへ。今はどんな暮らしぶりなのでしょう。
「まだオムツもしてないし認知症もないので、介護という感じはないですね。少し補助が必要なことはありますが、ちゃんと自分で意思表示してくれるので助かっています。
自分でトイレまで辿り着けないとしても、向かおうとはするので、そしたらトイレに入れてあげるといった感じです。
もちろん変化はあります。以前は朝までぐっすり寝ていましたが、3年くらい前から夜中にトイレや水で起きるようになりました。
なので一緒に寝るのは止めて、好きなときに動けるよう専用ベッドに寝かせています。
それから視力も落ちました。水を飲むのに少し苦労したり、あとトリミング台に乗せるのが危ないということで、トリミングはお断りされてしまいました。
今はまだ自宅でシャンプーできていますが、難しくなってきたら、インスタでおすすめされたシャンプー不要の入浴剤などを使おうと思っています」。
インスタでは色々なグッズを教えてもらったり、逆に良いグッズがあれば紹介したりもされているそう。
情報が多いのは良いことですが、もちろんちびくんに合う物ばかりではないので、よく調べたり試した上で使われています。
いつも一緒に
飼育放棄から救われるような形で牧野さんに迎えられ、当初は病気にも苦しんだちびくん。
でもそこからは健康な犬生を歩み、元気に長生きできています。その秘訣はどこにあったのでしょう。
「食事に気を付けたのは良かったと思います。ウチに来てから下痢は一度もしたことがなく、嘔吐もほとんどしませんでした。
それから前のオーナーさんのことがあったので、とにかく不安にさせないようにしてきました。
独りきりにならないよう生活を全部この子に合わせ、どこに行くのも一緒でした。家族の協力もあり、留守番はほとんどさせたことがありません。
最初は私が側にいないとだめだったので大変でしたが、母や主人、そして子どもたちにも次第に慣れ、みんなで寄り添うことができました。
実は来てすぐの頃は子どもが苦手で、息子は楽しみにしていただけに少し可哀想でした。でも娘を出産した時に子どもという存在に慣れたようで、息子とも仲良くできるようになって。
私一人ではいつも一緒というわけにはいかなかったので、家族の存在は大きかったですね」。
どんな子か想像し、食べ物やリードもウキウキと選んで、家に迎えたらじっくり可愛い顔を眺めて⋯。
本来なら一番ワクワクして楽しめるはずだった時期も、心身のケアに奔走して駆け抜けた牧野さん。
突然手渡された小さな命に寄り添って15年、今もその幸せを守り続けています。
取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)
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