【取材】19歳目前のココア。献身的な介護とストレスフリーの生活で20歳を目指す
12歳を超えても元気なダックスを、憧れと敬意を込めて“レジェンドダックス”と呼ぶことに決定! その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドダックスの肖像』です。
今回は、19歳目前のココアくんが登場です。「犬は犬らしく」というオーナーさんのポリシーのもと、甘やかさずに育てられ、18歳になるまで定期検査すらしたことがなかったというココアくん。果たしてその長生きの秘訣とは。
ココアくんのプロフィール
年齢&性別
18歳の男の子(2021年3月18日で19歳)
体重
5.1㎏
大好きなこと
お風呂とお散歩
既往歴
・8歳で膀胱結石、血尿で初めての入院。摘出と合わせて去勢手術。
・12歳でヘルニアの疑い。投薬治療と、2カ月間絶対安静。
・18歳から食欲がなくなり、検査で腎不全と判明。以来、毎日点滴を行う。
・同じく18歳のときに、てんかんの発作が2回。
8歳で血尿。膀胱結石の摘出手術
お天気のいい日は、毎日オーナーの大澤エミさんと、お散歩に出かけるココアくん。
もうすぐ19歳の誕生日を迎えるレジェンドダックスです。
最初に異変があったのは、2010年末。8歳のときにおしっこがほんのりピンクに。
「念のため、と病院に連れて行ったら、先生から“血尿はすぐ来なきゃダメだよ!”と叱られました」。
診断は、膀胱結石。結石には、薬で溶ける石と溶けない石があり、ココアくんの場合は溶けない石だったので、翌年1月に摘出と合わせ、8歳にして去勢手術もしました。
次の異変は2014年の9月ごろ。12歳のとき、突然動けなくなってしまいます。
ヘルニアを疑って病院へ行くと獣医師からは「ヘルニアにはなっていないけど、ダックスのヘルニアは1日でステージが3つくらい悪化することもあるから気にかけるように」と言われます。
そこから2カ月間は、痛み止めの薬を飲みながら、お散歩もお風呂も禁止の絶対安静。無事に回復しました。
その後も、腰が原因なのか、動けなくなることが2〜3回あったものの、昨年18歳の誕生日を迎えたころは、元気に走り回るほど元気。
「犬は犬だから」というご主人のポリシーで、なんと18歳になるまでドッグドックを受診したり、定期的な血液検査などは一切してこなかったそうです。
18歳から始まった自宅での点滴ライフ
とはいえ、やはりココアくんはハイシニア。18歳になってすぐのころ、食欲が落ちてしまい病院へ。
痛み止めと抗生剤で、炎症の数値は改善したものの、1週間経っても2週間経っても、元気は戻らないままでした。
「先生も我が家の方針を理解していて、あまり積極的に検査を勧めない方でした。
しかしそのときはさすがに生化学血液検査を勧められ、結果、腎不全でした…」
先生から「人間だったら人工透析の一歩手前というところまで悪化している」と伝えられ、ショックだったそうです。
以来、自宅で皮下点滴をする日々。
「病院に連れて行くと、ブルブル震えて怖がるんですよね。
なので先生から“できるのなら家でやったほうが犬も楽だよ”と言われて、点滴のやり方を教わって」。
点滴は、背骨に沿った部分の皮を持ち上げ針を刺します。刺すのは首からお尻の間ならどこでも大丈夫だそう。5分ほどで終了します。
病院では大人しくしていたココアくんですが、自宅で点滴を始めたころは、嫌がって途中で針が抜けてしまうことも。
「慣れてからは、寝ている間を狙っています(笑)。
針を刺した瞬間は目を覚ますけれど、頭をやさしくトントントンと叩いてあげると、そのまままたすーっと寝ちゃうので」
点滴のかいあって、最初の1カ月で数値がかなり改善したのだそう。
病気の発覚時、先生から今後の治療方針について聞かれた際には「延命治療は望まないけど、痛みや辛さは取り除いてあげたい」と答えたそうです。
「18歳という高齢になって毎日、点滴針を刺されるのも苦痛でしょうから、できればしないほうがいいと思うんです。だけど、ココアが辛いのは嫌で…。
犬って腎臓を患うと、食欲がなくなるんですって。
だから食べず、お水も飲まなくなりました。
そういえば病気が判明する前は、食べたものをよく戻していたんですよ。
ちょっとした体調不良だと思っていたけど、もっと早く気づいてあげられれば、ここまで悪化する前に見つかったのかもしれません」
“犬は犬らしく”というのも愛ゆえ。「もっと早く気づいてあげられれば」と思うのも愛ゆえ。
正解は誰が決めるものでもないのでしょう。
好物の焼き芋で“快腸”に!
シニアになってからは、デビフやロイヤルカナン小型犬高齢犬用の、粒が小さくて柔らかいフードを、3種類ほどそのときどきであげています。
「ササミが大好きだったんですけど、腎臓に問題があるとたんぱく質が良くないみたいなので。今は月2回くらいのごほうびおやつになっちゃいました」
代わりに大好きになったのが、焼き芋です。
「腸内環境が良くなったのか、排便は毎日キッチリあります。人間の親指くらいのを2つ、3つしますね」
腎臓を患ってからは、水をまったく飲まなくなってしまったので、朝晩、飲むヨーグルトをあげるほか、糀の甘酒をときどきあげて水分補給を工夫しているそうです。
迎えたきっかけは、犬を怖がる次男のためだった
大澤さんには、すでに成人しているふたりの息子さんがいます。
下のお子さんは、小学5年生になっても友人宅で「犬がいたから入れなかった」と帰ってくるほど、犬を怖がっていたそう。
それを心配し、長男が中学の職業体験で知り合った獣医さんの紹介で、ブリーダーさんからココアくんを迎えることを決めます。
「しっぽが短めで先端が少し曲がっているから」というだけの理由で破格だったココアくん。
「そのブリーダーさんの犬たちは健康だ」という獣医さんのお墨付きがあり、大澤さんの一存で決めたそうです。
子どものころに犬を飼っていた大澤さんは、「こんなに長く生きるとは思いませんでした。
ココアを飼い始めたころにいたご近所のワンちゃんたちは、みんな15歳か16歳くらいでいなくなっちゃったんですよ」と少し寂しそうに言います。
少年時代に雑種を外飼いしていたご主人は、「犬は犬だから」と人間扱いせずに厳しくしつけてきました。
それが、シニアになった今、「愛おしくてしょうがない」と言うほどに可愛がっているそう。
「若いころは、主人がお風呂に入れても暴れて嫌がっていたのが、今はお風呂に入れると、うっとりと目を閉じて寝てしまいそうになるんです(笑)」
かいがいしくお風呂の世話を焼くほどにココアくんを溺愛しているパパさん。やはりダックスの可愛らしさにはどんな人も敵いませんよね。
ストレスフリーで目指せ二十歳!
18歳の誕生日を迎えた1年前まで、ココアくんは元気に走っていました。
「19歳目前の今は、お散歩で転んでしまったり、家の中でもマットの上では立てるけどフローリングでは踏ん張れないことがあったりして。
この1年で、すごく年を取ったなぁと思います」
シニア犬にとっての1年は長く、日々変化が襲います。だからこそ「ココアが亡くなったあと“ああすれば、よかった”という後悔がないように過ごしていきたいと思っています」と語ります。
そんな大澤さんが考えるココアくん長寿の秘訣は、「ストレスがないこと」だそう。
1年半前までココアくんは、お留守番が多い生活でした。
しかしココアくんとの残りの時間を考え、ママさんはお仕事を退職したんだそうです。
「実は腎臓を患った去年の4月、先生から“治る病気ではないし、徐々に悪化していく。あと1年はないと思ったほうがいい”と言われたんです。
お留守番がなくなって、今はストレスが減ったんじゃないかな。
私自身も、仕事を辞めてストレスがなくなったので、血圧が正常になりました(笑)」
昨年9月と11月には、てんかんの発作が起きたものの、原因を突き止めるための検査は、今のココアくんには辛くストレスになると考えて、受けないことにしました。
「私も、主人と同じように今のココアのほうが愛おしい。みんな、そうじゃないかな?
“私がいなきゃ”という気持ちが、そう思わせるのかな」
犬が怖くて心配だった息子さんは、いまや結婚して、実家を離れて暮らしています。
それほど長い時間をココアくんと一緒に過ごしたのだから、“私がいなきゃ”は当然の気持ちではないでしょうか。
「息子達は、“おかんほど献身的に犬の世話をしている人はいないと思う”と、逆に私のことを心配していますけどね(笑)」。
そんなたっぷりの愛情を注ぎながら、今は19歳のお誕生日を、家族全員でウキウキ心待ちにしているそうです。
「毎年、誕生日に17歳になれた! 18歳になれた!って喜んでいます。
お友達で、21歳のお誕生日の2日後に亡くなったダックスがいるんです。だから、目指せ20歳! 簡単ではないと思いますけど(笑)」
点滴を続けながら、元気に過ごすココアくん。
大澤さんの献身的な介護には、頭が下がる思いですが、健康のために人間も犬も、ストレスフリーな生活を実践していきたいですね。
取材・文/都丸優子
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