2022年2月16日2,855 ビュー View

【取材】半身不随を克服し20歳まで自分の足でお散歩!長寿対策のアイデアに満ちた「 翼」のハイシニアデイズ

12歳を超えても元気なダックスを、憧れと敬意を込めて“レジェンドダックス”と呼ぶことに決定! その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドダックスの肖像』です。

今回取材に伺ったのは、20歳3ヶ月(取材時)になる翼くん。ご長寿が多いダックスの中でも20歳を迎えられる子はまだ少数ななか、取材の約2ヶ月前までは自分で歩いていたという健脚犬。しかし8歳で患ったヘルニアで一度は半身不随になった時期もあったのです。

翼くんプロフィール

ダックス

年齢&体重

20歳の男の子

体重 

4.4kg(若い頃一時8kgを超えたことも)

大好きなこと 

寝ることやおもちゃ遊び、お散歩

既往歴

・8歳の時にヘルニアを患い手術を受ける。

・2019年に白内障、外耳炎、胆管炎、結膜炎、甲状腺機能低下症などが判明。・

・2020年5月に右目が下がっているのに気付き検査したところホルネル症候群と判明、現在投薬治療中。

 

マイペース&おおらかな性格で、歩けなかった日々をめげずに克服

ダックス

 

特に大きな病気もせず過ごしていた翼くんに異変が起きたのは8歳の時。突然後ろ足を動かせなくなり、痛みを堪える悲痛な仕草に驚いたオーナーの小山さんはすぐに病院へ走りました。

 

「診断はヘルニア。実は発症当時翼は8kgを超えていて、体重がヘルニアの一因だとも言われました。

 

当初は近くの病院で治療を受けていましたが相当痛いのかとても辛そうにしていたので、川崎にある高度医療センターでの手術を決意したんです」。

 

手術は無事終わったもののひと月以上入院。退院後もしばらくは半身不随状態で歩けませんでした。

 

「もう一度歩かせてあげたい一心で、先生に教わったリハビリや腰の筋肉をほぐすマッサージを自宅で行ったんです。

 

するとしばらくしたら、走れるまでに回復! その時は翼の“気にしない性格”に救われましたね」(小山さん=以下「」内同)。

 

そう朗らかに笑う小山さんに気にしない性格の意味を尋ねると...。

 

「自分の寝床にウンチをしちゃっても気にせずそこで寝ているような子なんです。足が動かなくなっても、気にする様子が全くありませんでした。

 

ただ“動かないなぁ”みたいな感じで、痛みさえなければ特に気に留めない様子でした。

 

良く言えばおおらか、悪く言えば無神経だけど、この性格が長生きの秘訣なのかもと思うんです」。

 

リハビリとともに再発防止への対策もバッチリ!20歳まで自分の足で歩くほどの健脚

ダックス

 

翼くん本人が気にしてないとはいえ、小山さんは再び歩かせたい気持ちで毎日リハビリを実施。

 

後ろ足を手の平で押して蹴り戻させる練習などを繰り返しました。

 

その甲斐あって後ろ足の機能が回復した後も、ヘルニア対策として様々なことを取り入れたそう。

 

「手術後も半年に1度くらいのペースで3度ほどヘルニアの予兆があったので、その時はすぐ病院にかけつけていました。

 

また、ヘルニア予防に良いとされるサプリを飲ませたり、ダイエットで足腰への負担を軽くしたり、床にジョイントマットを敷いたり。

 

動きが完全ではない後ろ足が滑らないよう、靴も履かせ始めましたね」。

 

この努力の賜物で、それ以来再発はしていません。

 

しかしすでに20歳の翼くん。1年前から加齢で足腰が弱り始め、2ヶ月前頃からは歩けなくなりました。

 

「それでも8歳で一時半身不随になり、そこから12年も歩けたのは本当に良かったなと思っています」。

 

ふたつのお家を行き来する刺激と年齢に合わせたフードが元気の源

ダックスと家族

 

元々は小山さんのご自宅で翼くんの子供でもあるイブちゃんと2頭で暮らしていましたが、7年前にイブちゃんが虹の橋を渡り一人っ子に。

 

また約2年前にはママさんが出産したことがきっかけで、翼くんは自宅のすぐ近所に住んでいるママさんのお母様の家と自宅を行き来する生活になりました。

 

「今は母に預かってもらう時間が増えましたが、我が家に帰ってくると子供や家の匂いをスンスンして改めて新鮮さを味わっているみたい。

 

どちらの家も翼には我が家なので安心して過ごしています」。

 

この刺激が、健康に一役買っているのかも。

 

ダックス

 

食事についてもなにか長寿へのヒントがないか伺いました。

 

「最近は食が細くなってきたので、今は『プッチーヌ』という半生タイプのフードをミキサーで細かくし、そこにウエットタイプのフードを乗せたものが定番。

 

ご飯は朝晩の2回ですが、最近は朝は食べないことも増えました」

 

それでもおやつは別腹なようで、もう目と耳はほとんど利かなくなっているにもかかわらずパンを焼く匂いにはすぐに反応するのだとか。

 

「過去には体重管理のためおやつも野菜などヘルシーなものにしていましたが、今は特に制限させず、食べられるものを食べさせてあげる方向へシフトしました。

 

歯は1本も抜けていないけれど硬いものが食べ辛そうなので、柔らかいものが中心です」。

 

ダックスは歯周病になりやすい犬種。なのに歯がすべて残存しているとは、かなり口腔ケアに気を配ったのかと思いきや…。

 

「歯磨きが嫌いなので歯石はたくさんあります。ミニチュアダックスにしては骨太で体格も大きめなので、歯や骨も生まれつき丈夫なのだと思います。

 

また病院の先生には心臓がすごく強いとも言われました。持ち前の体の強さが長寿を支えているのかな」。

 

最近始まった介護生活にはアイデアがキラリ!

ダックス

 

丈夫な体を持って生まれた翼くんも、自力歩行ができなくなったことで2か月前からは介護生活がスタートします。

 

「足腰が弱り始めたの1年くらい前はまだドッグランで歩いていたんですよ。

 

ただ3年前に水を飲んでいる最中に突然倒れて痙攣を起こし、以降度々発作が出るようになりました。

 

現在は発作を抑えるてんかんのお薬をはじめ、検査で見つかった様々な症状に対処するために4種のお薬、サプリのアンチノール、さらに点眼薬も使っています。

 

たくさんの薬と介護は大変ですが、母が色々と発明してくれるんです」。

 

ダックス

 

こうほがらかに話すママさんが見せてくれたのが、翼くんのおむつ。

 

ウンチがいつ出てもお尻やベッドが汚れないようにお尻部分に穴を開け、そこに小さめのビニール袋がガムテープでセットしてありました。

 

「歩けなくなってから、ウンチをどうするかで試行錯誤しました。

 

そこで母が女の子用オムツを改造し、ウンチがそのままビニール袋に落ちるよう考えてくれたんです。

 

マナーベルトの上からおむつを重ねるので、オムツが直接汚れないのもお財布にも優しいです。

 

完成までに何度も試作しましたが、こういうアイデアを取り入れながらだと介護も苦にはなりません。

 

あとは床ずれにならないよう寝返りを頻繁に打たせたり、食事中も足腰の踏ん張りが効かずポテリと倒れるので、ネックピローを腰や首回りに巻いて倒れにくくするのも我が家流ですね」。

 

これは高齢のダックスと暮らすたくさんのオーナーさんの参考になりそうですね。

 

ダックスと家族

 

また、歩けなくなってからも抱っこでお外の空気を楽しむことも日課にしているそう。

 

「抱っこ散歩以外にも窓を開けて風に当てたり、食事やお出かけにも抱っこ用スリングを使って一緒に出かけます。

 

年齢的にひとりで留守番させられないというのもありますが、歩けなくても家族と出かけるのは良い刺激になっているはず。

 

これからも負担にならない程度に、天気の良い日は外出していろんな空気や香りを楽しませてあげたいですね」。

 

取材中はお子さんが食べるパンの匂いを鼻先を必死に伸ばしクンクン嗅いでいた翼くん。

 

その表情は穏やかで幸せいっぱいで、「歩けなくたって平気さ、だって家族がいるからね」と言っているようでした。

 

ダックス

 

取材・文/横田愛子

 

 

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