【取材】英国在住「19歳7ヶ月のドン」はロンドンっ子の間でも噂のマト!日本と違いすぎる驚きのペット事情にも注目
12歳を超えても元気なダックスを、憧れと敬意を込めて“レジェンドダックス”と呼ぶことに決定! その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドダックスの肖像』です。
今回はロンドンで暮らす19歳7ヶ月のドンちゃんが登場! イギリスでもこの年齢まで元気なダックスはとても珍しく、ちょっとした有名犬なんだそう。ペット先進国と言われるイギリスの、日本と違いすぎる数々のペット事情も驚きの連続です!
目次
ドンちゃんプロフィール
年齢&性別
19歳7か月の男の子(※2021年3月現在)
体重
6.8kg
性格
おっとりしていて、マイペース
大好きなこと
寝ること、食べること
既往歴
17歳6か月の時に歯が悪くなり(病名は不明)、犬歯を含め上下4本ずつ前歯を抜歯。同時に、顎の骨も一部切除する手術を受ける。
その2か月後(17歳8か月)に、睾丸が片方赤く腫れているのを見つけ、病院へ。腫瘍が見つかる。高齢のため良性か悪性化の病理検査はせずに切除手術。
ロンドンで注目を集めるレジェンドダックス
日本でも有名なイギリスの児童文学作品『くまのパディントン』。
そのキャラクター銅像と写真に収まっているのが、19歳7か月のレジェンドダックス・ドンちゃんです。
ドンちゃんの本名は“ブランドン”。
オーナー・チャコさん家族に仲間入りした当時、幼稚園生だった娘さんがアニメ『とっとこハム太郎』が大好きで、作品に登場する犬のキャラクター・ブランドンと毛色が同じだったことから、そのまま名前と愛称をいただいたのだとか。
“おっとりマイペースな性格”も本家(?)と同じです。
ドンちゃんが4歳の時にチャコさん一家は旦那さんの仕事の関係で日本から香港へ渡り、さらに12歳の時にイギリスのロンドンへ。
驚くことに、ドンちゃんが移住して来た当時、イギリスでは“ダックスフンド”という犬種はポピュラーではなかったそう。
「ロンドンに引っ越して来たのが、約8年前。公園でドンちゃんと散歩してると“その犬、何?”って聞かれて。
“ダックスフンド”って答えても、みんな“知らない”って言うんですよ。
ロンドンでは最初、サービスホテルみたいなところに住んでたんですが、そのホテルのマネージャーが“この部屋にすごくおもしろい犬がいると聞いて…”って、見に来たこともあって(笑)。
その方はフランス人だったんですけど、ドンちゃんを見て“あー、ソーセージドッグね! この犬はフランスにはいるけど、イギリスにはあまりいません”って言ってました。
とくにドンちゃんみたいなロングヘアーはマイナーだったみたいです」(チャコさん。以下「」内同)。
今ではイギリスでもすっかり人気犬種。
しかし、流行り始めたのがここ5〜6年のことなので、まわりには若いダックスが多く、19歳を超えるドンちゃんは注目のマトです。
チャコさん「月に1回“ハイドパークソーセージドッグウォーク”というイベントがあって。
多い時は100匹くらいダックスフンドが集まって、みんなで公園を散歩します」
「こっちでは公園でリードを外してもいいので、みんなジャレ合いながら遊んでる感じで、そのあとをゾロゾロ飼い主たちがついて行くんです。
そのイベントの参加犬の中でもドンちゃんは一番ご長寿で、よく“この子ね、18歳の子は!(※当時)”って声をかけてくれます」
現在(※2021年3月)は、新型コロナウイルス感染拡大のためロックダウン中のイギリス。
外出は日用品&衣料品の買い出しと1日1回の散歩に制限されているため“ハイドパークソーセージドッグウォーク”も、もう1年以上開催されていません。
しかし、毎日のペットの散歩は必要事項のため、回数の制限はないんだとか。
「年齢も年齢なので、今、お散歩は定期的には行ってないんですが、お天気のいい日には公園に連れて行ったり、近くのちょっと広めの道を歩かせたりはしています。
足腰も健康で、まだまだ自力で歩けるので。
目はだいぶ白くなっちゃいましたが、見えてるので、家でも外でも障害物にぶつかるようなことはないです」
買い物も旅行も一緒に!
動物愛護先進国で、愛犬家が多いことでも知られるイギリスでは、犬を大切にする文化や法律があります。
公園でリードをつけずに散歩ができるほか、こんなことも普通にできるんです。
「カフェやデパートにも一緒に入れるし、バスや電車にもゲージに入れずに乗れるので、どこにでも犬を連れて行けるんです。
満員電車の中にポンと犬が座ってるのも、ロックダウン前は珍しい光景ではなかったですね。
ホテルにも泊まれるので、娘が大学を卒業する時は、ドンちゃんを連れて地方を回ったり、大学近くの街中のキレイなホテルに一緒に宿泊したこともあります」
日本では、愛犬と泊まれる宿泊施設や入店できるお店はまだまだ限定的。
電車やバスに乗る際はケージに入れるのがマナーです。
イギリスのようにショッピングや旅行を“いつものお散歩”感覚で一緒に行けたら…想像するだけでワクワクしますね。
ライフステージにあったフードを
19歳オーバーにして自力で歩け、認知症とも無縁なドンちゃんですが、今まで病気がなかったわけではありません。
17歳の時に歯のクリーニングをお願いするつもりでかかりつけの獣医へ行くと、「歯が悪くなっている」(具体的な病名は不明)とのことで、前歯を上下4本ずつ抜歯。
アゴの骨も一部切除しています。
「食べることにはまったく問題はないんですが、やはり自分では口に入れづらそうにしていることもあるので、スプーンで口に運んであげると奥歯で噛んで食べる、って感じですね」
パピー期から16歳ごろまでは、ライフステージに合ったサイエンスダイエットのドライフードタイプを与え、硬いものをイヤがるようになってからはウェットタイプに切り替えたそう。
「食欲はすごくあるんです。生のキュウリが大好きで、冷蔵庫から出すと袋のシャカシャカっていう音とニオイを察知してやって来て、足元でくれるのを待ってます(笑)。
あとは、“目にいい”ってことでかぼちゃを煮たものや、グリーク(ギリシャ)ヨーグルトも毎朝大さじ1杯くらいずつあげてますね。
ヨーグルトは、獣医さんからも“お腹にもいいし、免疫力もつくからいいね”って言われてます」
ずっと気をつけてきたのは、人間の食べ物を与えないこと。
塩分が多く、犬にとっては有害となる食べ物も含まれている人間の食べ物を与えない、というのは長寿を目指すうえで重要なことのひとつ。
愛犬からの“くれくれビーム”に耐えるのもオーナーの使命なのです。
長生きの秘訣は、いつも2匹でいたこと
ドンちゃんを語るうえで、欠かせない存在がいます。それは、ドンちゃんから半年遅れでチャコさん家族に仲間入りした弟分のヨーピー(※写真右)。
「ドンちゃんがおっとりしていてマイペースなのに対して、ヨーピーは甘えん坊で怖がり。
いつもしつこいくらいドンちゃんにくっついてまわっていて、寝る時もドンちゃんの頭の上に自分の頭を置いて、2匹折り重なるようになってるんです。
ヨーピーはとにかくドンちゃんのことが大好きで、ドンちゃんはよくヨーピーのお世話をしてました」
ヨーピーは2019年1月、17歳になる1週間前に虹の橋を渡りました.。
晩年には認知症も発症していたそうです。
「目が見えないのに徘徊してクルクル回っちゃったりするので、あちらこちらにゴンゴンぶつかって。
それで転んで起きられなくなるとワンワン吠えて怒ってました。
そうすると、ドンちゃんが心配で見に行ってなめてあげたりとかしてましたね。
私が買い物に行っているあいだはドンちゃんがヨーピーに寄り添ってくれていて、夜鳴きするのもいつも心配そうに見ていました」
引越しによる環境の変化にもすぐに順応し、2匹そろって“レジェンド”と言われる年齢まで長生きできたのは、オーナーさんの愛情はもちろんのこと、ドンちゃんとヨーピー、おたがいの存在が大きかったに違いありません。
チャコさんも「おたがい刺激を与え合ってたんでしょうね。
多頭飼いで“つねに2匹でいたこと”、それがいちばんの長寿の秘訣だと思います」と振り返ります。
ヨーピーが亡くなった後、ドンちゃんはガクンと元気をなくしてしまわなかったのでしょうか。
「それが心配だったんですけど、 “ドンちゃんって、こんなにはしゃぐ子だったっけ?”ってくらい元気だったんです。
思い返せば、ヨーピーは昔から“自分が一番!”って感じで私のところに来ていたので、いつもヨーピーのお世話をしてからドンちゃん、って感じだったんですね。
それが、今は自分が一番に甘えられるので、“今まで我慢してたのかな。かわいそうなことしたな”と思いました」
ドンちゃんもきっと精一杯ヨーピーのお世話をして、ちゃんとお見送りができた実感があったのでしょう。
話を伺いながら、思わずウルッときてしまったエピソードでした。
犬が犬らしく生きることを大切にする
日本、香港、イギリスの3カ国で、ドンちゃん(&ヨーピー)と生活して来たチャコさんだからこそわかる、それぞれの国のペット事情も。
「香港では以前、野犬が多くて、狂犬病が深刻だったらしいんです。
それでみんな“犬に噛まれたら大変だ!”って言われて育っているので、犬が嫌いな人がすごく多いんですよ。
香港人の友達は“犬はちょっと…”って感じで最初は触らなかったですし、うちに届け物をしに来た女の子が犬を見ただけで大泣きしちゃったこともありました(苦笑)」
今では香港でも犬を飼う人が増えたそうですが、当時は日本との違いに驚いたそうです。
一方、イギリスにこんな風習があります。
「日本ではよくオシャレで犬に洋服を着せてますけど、こちらではあくまでも寒いから着せてるだけで、暑い夏に着せることはないですね。
あと、トリミングサロンが少ないので、毛のカットは家族、爪のカットは獣医さんでやってもらいます。
“オシャレに飼う”というよりも“ありのまま、自然体で飼う”意識が強いんです」
犬が犬らしく生きること。その尊厳を守っているのです。
それは素晴らしいことなのですが、一方ではこんな悩ましい問題もあります。
「イギリスでは動物愛護の思想がしっかりしているだけに、老犬を治療するのはあまりよくないことと思われています。
“歳をとっているのに苦しませるのはかわいそうだ”という考えなので、老犬を連れて行くと診てくれなくて、病気だと安楽死を勧められてしまうんです」
「うちは運がいいことにすごくいい獣医さんに出会えて、私たちの思うように治療してくださるんですが、それでも日本のように定期的に検査をして、健康を確認するようなことはありません。
ヨーピーが認知症になって大変だった時も、安楽死を勧められるのがわかっていたので連れて行きませんでした」
命に限りがあることはわかっていても、オーナーがあらゆる手を尽くして1分1秒でも大切な愛犬と長く一緒にいたいと願うのは当たり前のこと。
オーナーからすると、とても厳しい環境な気がします。
手に入りにくい介護用品。知恵を絞って対策
老犬に積極的な治療を施さないイギリスでは、日本のようにペットの介助&介護グッズがそろっていないのも現実。
チャコさん「家の中で足が滑らないようにパズル状のクッション性のあるマットとか売ってると思うんですけど、こちらにはないので、ラグを敷いたり、足裏の毛を短く切ったりすることで対応するしかありません。
あと、ドンちゃんは17歳の時に睾丸にできた腫瘍をとって以来、寝ているあいだにおもらしをしてしまうことがあるので、オムツをするんですが、ペット用のオムツがなかなかなくて…。
あったとしても、10枚で3000円くらいするので、人間の赤ちゃん用のオムツを巻いてあげてますね」
日本に住んでいるお友達がご自分の愛犬を介護していた時に使っていたアイテムを送ってくれたこともあるそうです。
「日本にいたら、ドンちゃんにもヨーピーにももっと何かやってあげられただろうな…とは思います。
だけど、こちらでは難しい。私はできるだけ長くドンちゃんに生きてもらいたいですが、病気や認知症になった場合、苦しい中で長く生きることがドンちゃんにとって幸せなことなのかはわからないですね…」
願うのは、健やかな今の状態が少しでも長く続くこと。
寒い時期には手編みのセーターを着せてあげたり、一緒に季節のイベントを楽しんだり…。
愛情いっぱいでドンちゃんとの日々を過ごしています。
まだまだ世界的に大変な状況が続いていますが、またドンちゃんがたくさんのお友達と公園をお散歩できる日が早く訪れますように。
そして、チャコさん家族とドンちゃんの楽しい日々が1日でも長く続きますように。日本からお祈りしています!
取材・文/永野ゆかり
★「#レジェンドダックス」で投稿お待ちしています!
ダックスフンドライフでは、取材にご協力頂けるレジェンドダックスを探しております!
12歳を超えたダックスたちは、「#レジェンドダックス」をつけてInstagramに投稿してみてくださいね。
編集部から取材のお声がけをさせて頂くかも!?
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