【取材】22歳まで生きた奇跡のレジェンド!介護生活の辛さも凌駕する「マック」がくれた温かな気持ち
12歳を超えても元気なダックスを、憧れと敬意を込めて“レジェンドダックス”と呼ぶことに決定! その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドダックスの肖像』です。
今回取材をしたのは、まさにスーパーレジェンドと言うべき22歳という年齢まで生きたマックくん。災害のために17歳で育ての親の元を離れるという過酷な運命と、長い要介護生活の中でも脅威の生命力を見せたマックくんの犬生に迫ります。
マックくんプロフィール
年齢&性別
22歳の男の子
体重
4.6kg(MAX 6.4kg)
大好きなこと
食べること!
既往歴
・17歳で迎えた時に肝臓等の機能低下、ヘルニア、虫歯、歯周病が判明。
・20歳で急性膵炎。
・同じく20歳の時、ワクチンの副作用と思われる体調不良に。
17歳で家族に
オーナー・高槻さんがマックくんを迎えたのは、マックくんが17歳の時。西日本豪雨災害に遭われた親戚から引き取り、家族になりました。
「元々猫好きで、犬と暮らすのは子どもの時以来でしたが、犬猫のボランティア活動をしていて多少知識があったので、そんなに心配はしていませんでした。
でも迎えてみると、耳が遠くて呼んでも反応がない、目が衰えていてアイコンタクトできない、ボール遊びにも興味がないなど、シニアの子ってこんな感じなんだと驚いたのを憶えています。
それから体調面でも、歯周病やヘルニアに、内臓もいくつか状態が悪いところがあって。
歯周病はほっぺが膨らむくらい進んでいたので、病院の先生と相談し、短時間で無理なくできる範囲で抜歯しました」(高槻さん=以下「」内同)。
短時間とはいえ、全身麻酔ができる体力があったのは幸いでしたが、ヘルニアや内臓疾患については、検査や手術の負担を考え経過観察に。
そして一番大変だったのが、迎えてすぐに始まったという夜鳴きです。
迎えた時から少し認知症があり、人恋しさや自力で立てないもどかしさ、そして空腹感など、様々な理由で鳴くようになったマックくん。
高槻さんが“夜鳴きとの戦いだった”と振り返る、長い介護生活が始まりました。
長い奮闘の後で
夜鳴きの期間や時間帯、そして対策はどんなものだったのでしょう。
「夜鳴きはうちに来て3日目から始まりました。時間帯はだいたい深夜2時から朝の7時頃で、それが4年程も続きました。
中でも本当に昼夜問わずという感じだった2年間は、ちょうど仕事をしていない時期だったのですが、仕事をしながらではとても対応できなかったと思います。
対策は色々しましたが、まず最初にしたのが食事でした。何か食べ物をあげると収まることがあったので、朝夕にあげていた食事を、朝夕夜の3回に変えてみたんです。
これはすぐに効果が出て、しばらくは少し落ち着きました。食事の時間は、6時半、18時、24時頃です。
それから体を動かした方が良いと思い、散歩しなくても外には連れ出して日光を浴びさせたり、家の中で少し歩かせたりしていました。
あと、だんだん自力で起き上れなくなっていったので、寝たきりになるまでの間は、起きたくて鳴くこともあって。
夜鳴きのためだけではありませんが、立ち姿勢で支えてくれる『リラクッション』などで、立てないストレスをできるだけ減らすようにしていました」。
試行錯誤の4年が過ぎた後、使うかどうかずっと悩んでいたという精神安定剤を与えることになり、夜鳴きは大きく改善されます。
もっと早くあげていればと思う反面、安定剤で“赤ちゃんのよう”になるマックくんを見ると、早くからあげていたら弱っていたかもしれないとも思われているそう。
答え合わせができない難問ですが、高槻さんはご自分の最大限を尽くし、マックくんは22歳というスーパーレジェンドになれたのですから、少なくとも“間違い”でなかったことは確かだと思います。
シニアライフの支え
夜鳴き対応以外にも、こんなシニア対策&お役立ちグッズが。
「食べこぼし対策で食器の下に縁付きのまな板を敷いたり、徘徊対策には100円ショップで売っている網で手作りケージを作ったりもしていました。
それから車椅子も2台使っています。最初に買ったのはネットで見つけた2輪にも4輪にもなるタイプのものです。
その後『桜花』さんという、オーダーメイドで制作されている方から2輪の試作品をいただき、後で4輪に改造してもらって使っていました。
車椅子には寝たきりになってからもよく乗せていたのですが、血の巡りが良くなり、床ずれ予防にも役立ったと思います」。
車椅子の試作品は無償提供で、改造費もかなりの安価。犬のためを思って製作されていることが伝わってきたそう。
また、高槻さんが仕事を再開されたため、お母様やご主人の実家、病院の日中預かりにマックくんのお世話をお願いすることも。
ほかにもご友人やボランティア仲間、インスタで応援してくれた方など、たくさんの人がマックくんのシニアライフを支えてくれました。
病気も乗り越えて
年齢もあり、迎えた時から病院に行く機会が多かったマックくん。特に多かったのが20歳の時です。
「膵炎になった時は、何でも食べる食いしん坊だったマックが食欲をなくし、痛みに耐える“祈りのポーズ”をするようになりました。
病院ではヘルニアのせいかもしれないので様子を見ようとなったのですが、翌日も食欲が戻らなくて。
やっぱりおかしいと思ってまたすぐ病院に行き、今度は血液検査もしてもらったら、膵炎だと判ったんです。
それで何日か入院して点滴してもらい、退院後は薬を飲んで、1カ月程で回復しました。
それから、私はワクチンの副作用だったと思うのですが、接種後に体調不良になり、ごはんも食べられなくなったことがあって。
毎日通院して点滴、検査を続け、次第に回復しましたが、マックにとっては余計な負担になってしまいましたし、治療費も高額になりました。
ワクチンを打つ時、高齢なので打たない方が良いのではとも思ったのですが、通っていたサロンが病院併設のところで、ワクチンを打たないとトリミングできなかったんです」。
狂犬病ワクチンの接種は義務ですが、獣医師の判断を経て免除されることもあります。また混合ワクチンは任意なので、年齢や体調に不安のある方は、かかりつけ医に相談してみましょう。
その後のマックくんは、慢性的な高血圧と、年に数回程度はやや重い体調不良もあったものの、薬や点滴で乗り越えてきました。
何でも食べます!
加齢による体の衰えや認知症、そして病気も抱えつつスーパーレジェンドになった驚異の生命力。その源は、やはり旺盛な食欲にあったようです。
「元々食べていた市販のフードから、シニア向けのものやヘルシー系まで、何をあげても食べないものはないというくらい、食に貪欲で胃腸も丈夫でした。
量もあげただけ食べるので、ヘルニア対策で太らないよう気を付けてはいましたが、基本的には食べる楽しみを優先し、あまり我慢はさせていません。
マックは薬を飲む機会が多かったのですが、本当に好き嫌いがないというか、薬すら嫌がらないので、飲ませやすくて助かりました」。
迎えた当初は“シニアだからできるだけ体に良いものを!”と意気込んで色々なフードを試したものの、肩透かしなくらいどんなフードもバクバク食べてくれたそう。
とはいえ、健康と楽しみのためにトッピングなどの工夫もされています。
トッピングは鶏の胸肉や旬の野菜などをフードプロセッサーで刻み、カツオだしで煮た手作り。おやつも旬の果物や茹でた野菜など、できるだけ自然で体に良いものを。
食べることが大好きで何でも食べてくれるからこそ、油断せずちゃんと気を付けてあげたい。高槻さんのそんな気持ちが、マックくんの丈夫な体をつくってきました。
生き方を教えてくれた
“助けになりたい”という一心でマックくんを迎えた高槻さん。でもその想いは、同じ時間を過ごすうちに形を変えていきました。
「最初は“可哀想”、“私がお世話しなきゃ”という気持ちが大きかったのですが、何というか、今でも言い表せないくらいもっと全然大きな存在になっていて。
マックが繋いでくれたご縁がたくさんあり、マックが頑張る分みなさんが応援してくれたので、介護が苦しかった時も乗り越えられたのだと思います。
それにマックがいたから参加したイベントなど、マックにも良い刺激になりましたが、私も楽しい時間を持つことができました。
独りで頑張ったり悩んだりしがちな介護には、人との関わりや、自分が楽しむ時間を持つことが本当に大事だと思います。
マックが亡くなってからも、お友だちがお花を贈ってくださったり、心が温かくなる瞬間が何度もあったんですよ。
災害や病気の苦難から何度も立ち上がり、こんなに人の心を動かせるなんて、こんなふうに歳を重ねられるなんて、私の方が生き方を教えてもらった気がします」。
実は今回の取材を申し込んだ後、22歳と1週間で亡くなってしまったマックくん。献身的な介護を続けた高槻さんに見守られ、安らかに旅立っていきました。
“あなたの晩年を絶対幸せにしたい”。一番近くにいる家族にそう想い続けてもらえる晩年が、幸せでないはずがありません。
きっと天国でも高槻さんとの日々を思い出し、温かな気持ちで満たされていることでしょう。
取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)
★「#レジェンドダックス」で投稿お待ちしています!
ダックスフンドライフでは、取材にご協力頂けるレジェンドダックスを探しております!
12歳を超えたダックスたちは、「#レジェンドダックス」をつけてInstagramに投稿してみてくださいね。
編集部から取材のお声がけをさせて頂くかも!?
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