2023年5月10日1,936 ビュー View

【取材】さまざまな病気を乗り越えてきた19歳の「クッキー」&17歳の「バーディー」。介護生活とはほど遠い、健康長寿の秘訣とは

12歳を超えても元気なダックスを、憧れと敬意を込めて“レジェンドダックス”と呼ぶことに決定! その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドダックスの肖像』です。

今回取材をしたのは、19歳のクッキーと17歳のバーディー、2頭のレジェンド。さまざまな病気を乗り越えながらこの年齢まで生きてきた、その長寿の秘密に迫ります。

クッキーちゃんプロフィール

ダックス

年齢&性別

19歳の女の子

体重

4.6kg(MAX 5.5kg)

大好きなこと

食べること、甘えること

既往歴

・12歳で汗腺癌。

・13歳で前庭疾患。

・18歳で肝機能低下と膀胱腫瘍。

 

バーディーくんプロフィール

ダックス

年齢&性別

17歳の男の子

体重

5.2kg(MAX 6.1kg)

大好きなこと

ボールなどで遊ぶこと、破壊すること

既往歴

・5歳で椎間板ヘルニア。

・14歳の時に慢性腎不全の診断。

・17歳でてんかん発作。

 

性格も疾患も違う2頭

ダックス

 

2頭ともペットショップでの一目惚れだったというクッキーちゃんとバーディーくん。

 

クッキーちゃんはマイペースで食いしん坊ですが、バーディーくんはビビリで食に執着がなかったりと、性格は全然違います。

 

そんな2頭を揃ってレジェンドまで導いたオーナー・佐々木さんに、食事や乗り越えてきた病気のことなど、詳しく伺いました。

 

「食事は、クッキーが14歳、バーディーが12歳の頃までは、『サイエンスダイエット』のアダルト用など、普通のドライフードをあげていました。

 

その後クッキーは肝臓を悪くしたので、『ロイヤルカナン』の消化器サポートに変え、最近は『ベッツワン』をあげてみています。どちらも低脂肪のドライフードです。

 

それを食べやすいようにミルで粉砕するのですが、パサパサになるのでスープをかけています」(佐々木さん=以下「」内同)。

 

犬のごはん

 

スープは手作りで、具材は鶏肉や魚、それにほうれん草や大根などの野菜類。

 

バーディーくんに食べムラが出てきたので作り始めたそうですが、それは単なる好みの変化ではなく、慢性腎不全になってしまったことが原因でした。

 

ほどほどが肝心!

ダックス,ドッグフード

慢性腎不全になって、いろんな種類のフードや缶詰を試したそう。「和漢」は試したものの食べてくれなかったんだとか。

 

バーディーくんが慢性腎不全と診断されたのは14歳の時。フードもそこから変わっていきます。

 

「今のメインは『ロイヤルカナン』と『ドクターズケア』で、ほかにも『ヒルズ』や『犬心』などの腎臓ケア用をあげてきました。

 

元々食に執着がないものの食欲はあり、ごはんも普通に食べていました。でもこの頃からフードだけではなかなか食べなくなって。

 

飽きたら別のメーカーに変えるという感じだったのですが、変えても食べないときの対策として、味変になるスープを始めたんです。

 

鶏の胸肉はリンが少ないそうなので、最初は鶏肉と刻んだ野菜で作っていました。そこからさらに味変ということで、鶏以外にタラやブリでも作るようになりました。

 

できるだけ手作りのものが良いと思っているのですが、どうしても食べないときや薬を飲ませたいときは、『チュール』を使ったりもしています」。

 

このほか、ワン友さんたちの間で流行っているという“ボーンブロススープ”も時々あげているそう。

 

ボーンブロススープを作るアイリスオーヤマのスロークッカー。

ボーンブロススープを作る時に使っているアイリスオーヤマのスロークッカー。

 

「鶏の骨を低温で24時間煮込むスープです。タンパク質がアミノ酸の状態まで分解されるので、腎臓にも良いと聞いて作ってみました。

 

ただクッキーの肝臓のこともあるので、あまりたくさんはあげずに、製氷皿で少量ずつ凍らせておき、時々いつものスープに足すくらいにしています。

 

因みに、お医者さんにボーンブロススープのことを話したら、微妙な顔で“何でもほどほどにね”と言われてしまいました(笑)」。

 

“これは良い!”と思ったら、すぐに試したくなる佐々木さん。そんな経緯もありこう言われたのだとか。それにしても、“何でもほどほど”は人の食生活にも当てはまる至言ですね。

 

クッキーちゃん病歴

ダックス

食生活に大きな影響を及ぼした肝臓や腎臓の疾患のほか、2頭と佐々木さんはこんな病気とも向き合ってきました。

 

「クッキーは脂肪腫ができやすい体質で、5〜6歳頃から時々できていました。

 

12歳で汗腺癌になった時も、最初は脂肪腫だと思っていたら、一部がしこりのようになってきて。場所は首の右側です。

 

病院で受診する時には色も黒くなっていたので、広めに切除してもらいました。すると後の病理検査で悪性だと判ったんです。

 

全部取り切れていたのですが、念のため1週間くらい抗癌剤治療をしました。その後は再発していません」。

 

ダックス

 

「次はその翌年で、13歳になったばかりの時に前庭疾患になりました。夜中に吐き、両眼の眼振がひどく、首も45度くらい傾いていました。

 

翌朝病院に行き、点滴や薬で治療してもらったのですが、1〜2週間はごはんもあまり食べられず、普通に歩けるようになるのも10日くらいかかったと思います。

 

薬はステロイドや吐き気止めなどで、それから認知症予防のサプリも1週間ほど飲んでいました」。

 

後遺症として斜頸があったものの、その後は再発していないそう。この後、18歳の健康診断で肝臓の疾患が判り、『ウルソ』の服薬が始まりました。

 

また同じ頃、膀胱に数ミリ程度の腫瘍が発見されましたが、検査も治療も負担になるため詳細は追わず、経過観察に留めています。

 

バーディーくんはヘルニアから

ヘルニアのダックス

 

続いてバーディーくんの病歴です。

 

「バーディーは5歳で椎間板ヘルニアになってしまいました。

 

寒くない時期なのに震えが出て、まずかかりつけ医でステロイドとビタミン剤を注射してもらいました。自力でおしっこもできなかったので導尿もしてもらい、その日は絶対安静でした。

 

それで家で安静にしていたのですが、日付が変わった頃から後ろ脚が動かなくなったんです。

 

ですが翌日はかかりつけ医が休みだったので、別の病院を探しヘルニア専門のところを見つけました。

 

そこでは、重症なのですぐに手術が必要なことと、麻痺の重度や進行の速さから脊髄軟化症かもしれないことを告げられました。

 

脊髄軟化症だった場合は手術をしても3〜10日程度で亡くなってしまうとのことでした」。

 

突然の震えから、わずか1日で命の心配まですることになった佐々木さん。さぞ不安だったと思いますが、手術は無事終わり、幸い脊髄軟化症でもありませんでした。

 

ダックス

 

症状の重さから車椅子生活になる可能性も示唆されましたが、投薬やレーザー治療、リハビリなどにより徐々に回復。自力で歩けるようになりました。

 

なお、この病院が人気で満床だったこともあり、入院は2週間で、後のリハビリは自宅で佐々木さんが行ないました。

 

基本はケージの中で過ごし、歩く訓練は家の中でリードを付けてゆっくりと。トイレと気分転換のために外出も欠かせません。

 

そんな生活を2カ月程続け、最初はもつれながらも、徐々に歩けるようになっていったそうです。

 

腎不全とてんかん発作

ダックス

 

その後は10年ほど健康に暮らすことができたバーディーくん。腎臓の疾患が判ったのは14歳の時でした。

 

「何か症状があった訳ではなく、健康診断の血液検査で慢性腎不全だと判りました。

 

治療は『ネフガード』というサプリで、炭の成分が体内の毒性物質を吸着し、便で出してくれるというものです。

 

最初は病院で出されましたが、その後はネットで買っています。今もずっと飲んでいて、腎臓病のステージは少しずつ上がっていますが、服用量は変わっていません」。

 

ダックス

 

17歳になった今も、腎臓は生活に支障がない程度に落ち着いています。ですが、最近てんかん発作を起こしたこともあり、なかなか安心できない状況です。

 

「ここ半年くらい、光の方に歩くと自分でブレーキをかけるような、少し引きつるような仕草をしていたんです。

 

そしてつい先日、日向ぼっこしている時に倒れてしまいました。横向きで犬かきしているような状態が3分くらい続いたと思います。

 

すぐ病院に連れて行き、吐き気や痙攣を止める点滴をしてもらい、そのまま一時預かりになったのですが、急変する可能性があるとも言われました。

 

幸い急変することはなく、『コンセーブ』という毎日飲む抗てんかん薬と、『ダイアップ』という痙攣が収まらないときに入れる坐薬を処方してもらい、様子を見ることになりました」。

 

大きな発作が続くと脳にダメージがあるため、3分を超える発作は要注意とのこと。佐々木さんは3分続いたら坐薬を入れ、それでも収まらないときは病院に連れて行くことにしているそうです。

 

因みに、かかりつけ医はその時々の状況に合わせて何度か変わっていて、今はハイシニアということで、夜間・緊急対応が可能な病院にされています。

 

介護生活はまだ先です!

ダックス

 

2頭ともやはりシニアになると病気や発作が目立ち始めました。とはいえ、日常生活はまだ介護という感じではありません。

 

「目はあまり見えなくなってきましたが、部屋の中の配置を憶えているので、物にぶつかったりはしません。耳も遠くなりましたが、大きな音は聞こえています。

 

それからトイレも多少の失敗はありますが、そんなに大変なことはないんです。連れて行けばトイレでしますし、夜中に起きてしたがることもありません。

 

仕事で留守にするときは、長時間用のオムツをして、帰ったらシャワーや温タオルでキレイにしています」。

 

トイレには2時間置きに連れて行き、お尻の辺りをポンポンしてあげるとクルクル回り出してするのだとか。こういうルーティンを覚えてくれると良いですね。

 

ダックス

 

またオムツは経済面を考え、男の子のバーディーくんには人間の赤ちゃん用オムツを使用。テープタイプのものを腹巻き状にして巻いているそう。

 

その他のシニア対策として、リビング全面に滑りにくいタイルマットを敷いたり、ローソファから更に足を取ったりと、足腰のケアもされています。

 

ローソファーに立つダックス

ローソファーの足は取りました。こちらは同居犬のきなこちゃん。

 

それから夜はリビングで一緒に寝ているそうですが、朝までぐっすり寝てくれて、要求吠えや徘徊等もなし。

 

色々と工夫やケアはされつつも、佐々木さんにはまだ介護生活やシニアライフといった実感はないそうです。

 

普通の献身、普通の愛

ダックス

 

それぞれに疾患を抱えながらも、19歳と17歳というダブルレジェンドに到達した秘訣。ぜひ教えてほしいのですが⋯。

 

「それが思い当たらないんです。たくさんスキンシップしたり、お出かけ好きだから季節ごとに旅行に行ったり、数年前からはマッサージに通ったりもしてますが、どれも普通ですよね。

 

変わったことと言ったら、部屋の照明を暗めにしてることくらいでしょうか(笑)。根拠はないのですが、犬たちにはそっちの方が良いかなと思って。私も落ち着きますし。

 

あと昔は失敗したり粗相したら叱っていたのですが、今は止めました。100%を目指さなくなったというか。

 

ごはんを残してもいいし、粗相したら洗えばいいし。散歩も遠出の前後は休んだりして、できるだけ“ちゃんとするストレス”をかけないようにしています」。

 

ダックス

 

19年間続けてきた愛情たっぷりのお世話も、病気のときの献身的な看護も、佐々木さんにとっては特に意識もしない普通のことだったのでしょう。

 

だからこそ今は、愛情や献身の表れである“一生懸命さ”が行き過ぎないように気を付けられているのだと思います。

 

若い頃との違いを受け入れ、必ずしも“ちゃんとさせる=犬たちのためになる”ではないことを理解する。

 

少しずつ歳を重ねる犬たちに合わせて、そんなふうに自分の意識も変えていけたら、きっと幸せなシニアライフ、そしてレジェンドへと近づけるのではないでしょうか。

 

ダックス

 

取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)

 

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