2023年3月9日4,271 ビュー View

【取材】お父さんが大好きな20歳の「海」。たくさん可愛がり、なるべく自由に…そんな当たり前の日々を積み重ねて

12歳を超えても元気なダックスを、憧れと敬意を込めて“レジェンドダックス”と呼ぶことに決定! その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドダックスの肖像』です。今回登場するのは、20歳の男の子、海くん。7歳からともに過ごしてきたオーナーさん。「特別なことは何もしていない」というその生活は、それでもかけがえのない愛にあふれていました。

 

 

 

 

 

 

海くんプロフィール

ダックス

年齢&性別

20歳の男の子

体重

3.1kg(MAX 5kg)

大好きなこと

食べること、ボール遊び

既往歴

・12歳で歯周病。

・14歳の時、嘔吐を繰り返し低血糖症に。

・16歳でヘルニア 。

・17歳頃から白内障に。

・19歳頃から腎機能低下。

・20歳頃から散発的な痙攣発作。

 

お父さん大好き!

ダックスパピー

 

海(かい)くんと出会ったのは、オーナーさんが7歳の頃。それ以来、当たり前にそこにいる家族として、長い年月を過ごしてきました。

 

今では海くんもシニアになり、オーナーさんも二児の母になって、ご家族4世代で賑やかに暮らしています。

 

「元々猫が2頭いて、その子たちのかかりつけ医でダックスの仔犬情報を見つけたんです。犬も欲しかった私と姉は、母と3人でブリーダーさんを訪ね、そのまま連れて帰りました。

 

父には何も言ってなかったのですが、もう連れてきてるので反対もできず(笑)。でも名前を付けたのは父で、海も父が大好きなんですよ」(オーナーさん=以下「」内同)。

 

ダックス

 

ご近所に犬が少なく、オーナーさん姉妹にたっぷり可愛がられたこともあって、犬より人が好きな子に育った海くん。

 

中でもお父さん愛は特別で、一緒に寝たがるのはもちろん、留守番の時はお父さんの匂い付きクッションで寂しさを紛らわせています。

 

甘えるだけでなく、序列も上に置いていて、噛み癖があった時もお父さんには噛み付かなかったそう。

 

お父さんはとても動物愛が深い方で、先住猫たちも外出先で保護して家族に迎えました。犬は愛情に敏感な生き物。海くんもすぐにお父さんの愛情を感じ取ったのでしょうね。

 

食事で気を付けてきたこと

ダックス

 

生後2〜3カ月でオーナーさん一家に迎えられた海くんですが、来た時から元気いっぱいで、ごはんも食べ過ぎが心配なくらい食べてくれました。

 

「仔犬から18歳までは、普通のドライフードです。18歳からは腎臓が弱ってきたので、病院で教えてもらった『ロイヤルカナン』の腎臓サポートにしました。

 

19歳からは飲み込む力が弱ったこともあり、『dbf』缶のシニア用に水を加えてミキサーで混ぜ、流動食のようにしています。

 

シリンジなどではなく、お皿から自分で食べられるのですが、同じ味が続くと飽きるので、そのときは同じメーカーの別のシリーズをあげています」。

 

ダックス

 

仔犬の頃から気を付けていたのは、食べ過ぎて太らないようにすること。肥満になると色々な病気のリスクが高まり、足腰の負担も大きくなります。

 

そして、人間の食べ物をあげないことも。与えてはいけないものや、多く与えると病気になるものを、気付かずに与えてしまうリスクを避けるためです。

 

また、おやつも成犬期以降はあまりあげてきませんでした。ただ最近は年齢のことも考え、身体に特別悪いものでなければ、人間の食べ物も含め好きなものを食べさせています。

 

歯周病とヘルニア

ダックス

 

楽しい暮らしと旺盛な食欲のおかげか、海くんが深刻な病気になることはありませんでした。ただ、歯周病や椎間板ヘルニアなど、ダックスに多い病気は一通り経験しています。

 

「12歳頃から歯石が目立ち始めました。どうにかしたいとは思っていたのですが、歯磨きしようとすると噛まれてしまうので、そのままになってしまって。

 

すると段々顔が腫れてきて、もう抜歯しかないところまで歯周病が進行してしまいました。それで歯を全部抜いたのですが、幸い食欲は変わらず、食事にもあまり支障はありませんでした。

 

ダックス

 

それから16歳のヘルニア です。下半身が動かなくなり、かかりつけ医で診察してもらったところ、もう歩けないだろうと言われました。

 

でもそう簡単には諦めきれず、別の病院でセカンドオピニオンをもらうことにしたのですが、その病院ではすぐに“大丈夫だよ!”と言われたんです。

 

治療は主にサプリの『アンチノール』を飲むだけでしたが、1週間で歩けるようになりました。その後のケアとして、冷やすと悪化するので湯たんぽで温めることなども教えてもらいました。

 

この時から、この病院をかかりつけ医にしています」。

 

犬種も環境も違う様々なレジェンドを取材してきましたが、セカンドオピニオンを聞くことや、病院を変えることを厭わないオーナーさんの多さは共通していました。

 

診療はもちろん、説明や相談も含めて不安があれば、ためらわずセカンドオピニオンを検討してみましょう。

 

病気も歳と共に

ダックス

 

犬種に多い病気に次いで現れたのは、やはり加齢による病気です。

 

「19歳になって吐くことが多くなったのですが、原因は腎臓が衰えているせいでした。3分の1くらいしか機能してなくて、投薬のほかに自宅で皮下点滴もすることになりました。

 

点滴は、生理食塩水に吐き気止めが入った“補液”を、1日1回100ml入れています。

 

最初は1日2回で合計200mlだったのですが、首が膨らんで重たくなったりして、負担が大きそうなので1回に減らしました。

 

針を刺すのが可哀想で辛くて、父も母も刺せないので私がやっているのですが、1年経ってもなかなか慣れません。

 

父の匂いがするクッションを顔の側に置いたりはしていますが、上手くできるコツみたいなものはなく、未だに失敗することもあります」。

 

このほかに痙攣発作や白内障などもありましたが、年齢的なリスクや苦痛を避け、積極的な治療はしていません。

 

因みに痙攣の原因は、腎機能の低下が脳に影響を与えたためではないかということです。

 

シニア対策

ダックス

 

すっかりハイシニアになった海くん。病気以外にも様々な変化が出てきています。

 

「18歳頃まではジャンプするくらい元気でしたが、今は足腰も弱り、寝ていることが多くなりました。あと軽い徘徊があったり、耳が遠くなったりもしています。

 

それから尿漏れもあって、マナーベルトとオムツを重ねて着けています。留守番の時など、しっかり吸水しないと気持ち悪いと思うので。

 

尿漏れの後は、流さなくて良いシャンプーでキレイにしています。シャンプーやシャワーも負担になるからと、トリマーの友だちがすすめてくれました。

 

ダックス

 

お部屋の対策としては、フローリングに滑り止めのジョイントマットを敷き、家具と床の隙間には、挟まらないよう毛布やクッションを詰め込んでいます。

 

また、温度と湿度にも気を付けています。温度は26℃、湿度は60%くらいに保てるよう、気候がちょうどいい時以外は、ほとんどエアコンつけっ放しです」。

 

最近は海くんの“生存確認”から一日が始まるというオーナーさん一家。海くん専用の部屋に思い思いに出入りして、お世話やスキンシップをされています。

 

スキンシップのときは、名前もたくさん呼んでいるそうです。耳が聞こえなくても、口の動きや態度、それに心の声で海くんに愛情を伝えています。

 

ダックス

子どもも猫も優しくなりました

ダックス

 

海くんがシニアになったことで、周囲にもこんな変化がありました。

 

「私の子どもたちも、抱っこしたりごはんをあげようとしたり、海に優しく接するようになったと思います。でも5歳と3歳なので、下の子はまだよく分かってないかもしれません。

 

この子たちが生まれた時、海はヤキモチで軽く噛み付いたりもしてたんですよ。もう歯がなくなっていた頃なので、痛くはなかったと思いますが。

 

それから今一緒に暮らしている猫のアリスも。この子も17歳なのですがまだ元気で、最近はいつも海の近くにいて、気遣ってくれているようです。

 

あと、『日本動物愛護協会』で長寿の表彰もしてもらいました。18歳で申請したので、20歳越えということでもう1回申請したいくらいです(笑)」。

 

ダックス

 

ずっと一緒にいる家族のこと。小さなお子さんも猫のアリスちゃんも、海くんの変化をしっかり感じています。自然と優しい振る舞いができるようになるのは、教育としても尊いですね。

 

因みに『日本動物愛護協会』の長寿表彰は、ダックスなどの小型犬なら18歳から受けられます。申請に必要なのは、かかりつけ医の「年齢・生存証明書」に、申請書や写真など。

 

良い記念になり、益々の長寿を目指す励みにもなりそうですね。ただ表彰は生涯に一度とのことなので、海くんの再表彰は難しいようです(笑)。

 

後悔しない愛し方

ダックスと子供

 

最後に、長寿の秘訣を伺いました。

 

「たくさん可愛がって、なるべく自由にさせてストレスをかけず、小さな変化を見逃さないようにして⋯。そんな普通のことばかりで、特別なことは何もやっていません。

 

インスタなどを見ていると、本当に熱心な方がたくさんいらっしゃいますが、私は全然そんな感じじゃないんです。面倒くさがりですし(笑)。

 

でも、それが海には合っていたのかもしれません。特別なことはしなくても、勝手に育つというか。子育てと同じですね。

 

7歳の時から一緒で、お世話も主に母がしてくれていたので、子どもというよりは相棒という感じなのですが、一昨年実家に戻ってくるまで8年くらい離れていたこともありました。

 

そのことも、今の愛おしさに繋がっている気がします。離れて気付く愛情というか。それに海の方が私を気遣ってくれていることにも気付きました。

 

妊娠している時には、ずっとお腹に寄り添ったりもしてくれたんですよ」。

 

ダックス

 

あくまで自然に、でも愛情たっぷりに海くんに接しているオーナーさん一家。将来のことも家族で話し合い、“なるべく苦しまずに逝かせたい”という方針を共有しています。

 

それでも、もしものときに愛情深いお父さんがどれだけ悲しむか、オーナーさんは今から心配だそう。一方で、“やれることはやっているので、後悔はしないと思う”とも仰っていました。

 

生きている今を精一杯過ごし、後悔はせず、悲しみは分かち合う。犬も人も変わらない、天寿を全うするための家族のあり方を教えていただいた気がします。

 

ダックスと家族

 

取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)

 

海くんは取材後、記事の公開を待たずに虹の橋へと旅立ちました。取材で語っていただいたように、きっと後悔のない最期だったと思います。心からご冥福をお祈りします。

 

★「#レジェンドダックス」で投稿お待ちしています!

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