2022年5月20日2,873 ビュー View

【取材】“犬を尊重する”という愛し方。18歳の「ロイ」の長寿の秘訣は、飼い主との居心地のいい距離感

12歳を超えても元気なダックスを、憧れと敬意を込めて“レジェンドダックス”と呼ぶことに決定! その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドダックスの肖像』です。今回登場するのは、18歳のロイくん。今回の取材では、本当の意味で“幸せな犬”とは、どういう犬かを教えてもらった気がします。また、ストレスのない介護生活のヒントも盛りだくさんなので、ぜひ参考に!

ロイくんプロフィール

ダックス

年齢&性別

18歳の男の子

体重

4.1kg(MAX 4.6kg)

大好きなこと

ごはんを食べること! 外に出ること。

既往歴

・13歳のとき急に腰が立たなくなる。ヘルニアが疑われたが、投薬で前以上に元気に。

・14歳で歯周病になり、全身麻酔で抜歯。

・15歳で視力を失う。左目が先に白内障になり、右目は特発性・突発性の網膜変性症に。

・17歳のとき、遊泳運動を伴う発作を2度発症。抗てんかん薬で回復。

 

紳士なクールボーイ

ダックス

 

家の中ではお利口でクールだけど、外では社交的というロイくん。

 

お留守番も大丈夫で、ボールやおもちゃにはあまり興味がない、大人っぽい男の子です。

 

「歳とともに頑固になってきたものの、犬も人も好きで誰とでも仲良くできていました。

 

でも、私や家族にべったりという感じでもなかったですね。

 

基本的にはひとりで大丈夫だし、ボールを投げても追わないような、ちょっとクールな子でした。

 

散歩は大好きでしたが、最近は歩きたいというより、外の匂いを嗅いだり、日向ぼっこをしたがります」(オーナーさん=以下「」内同)。

ダックス

 

ごはんが大好きで、カニーンヘンにしてはボディが大きめ(長め)ですが、ガツガツ系のわんぱくボーイではなかったようです。

 

むしろ、他の犬が苦手な子とも穏やかに挨拶ができるので、飼い主さんに喜ばれるくらいの紳士犬。

 

そんな子に育った理由は、オーナーさんの接し方にもあったようですが、それはまた後半でお伝えします!

 

シニアになってグルメに!?

 

ダックス

ロイくんのごはんはずっと、子犬の頃にブリーダーさんがあげていた『ロイヤルカナン』のドライフード。

 

年齢や体型に合わせて種類は変わりましたが、他メーカーのものやウェットフード、人間の食べ物などはあまりあげてきませんでした。

 

「犬には犬の食べ物が良いと思ったのと、食いつきも良かったので、ずっと『ロイヤルカナン』のものにしていました。

 

太り気味のときはダイエット用を混ぜたり、ダックス用が発売されたらそっちに変えたりという感じです。

 

食事は朝と晩の2回ですが、今は晩を少なめにしています。最近、晩ごはんの後にまた食べたがるので、総量が増えないように。

 

晩ごはん後の要求は3ターンくらいあって(笑)、食べたことを忘れるのか単に食べたいのかはわかりませんが、少量でもとにかく食べれば落ち着きます。

 

それからこれも最近ですが、ドライが食べにくそうなときや、食べたがらないときがあるので、ふやかしたり、ウェットフードもあげるようになりました。

 

ウェットは何でも食べるわけではなく、こっちのメーカーがだめならそっち、それもだめなら⋯と何種類も試しています。

 

シニアになって食欲は益々旺盛なのですが、好みがちょっとうるさくなったのは、ずっと同じドライだった反動かもしれません(笑)」。

ドッグフード

 

14歳で歯周病の手術をした後も、ドライをばくばく食べていたロイくん。

 

最近食べにくそうなのは、舌の力が弱って食器からすくい辛くなったせいかも、とのこと。

 

そんなロイくんの食べ方を見て、食器も食べやすそうなものに変えました。

 

そのほか、時々はトマトや枝豆、焼きイモ、そばなどを少しあげたり、歯が元気な頃はおやつにターキーアキレスをあげたりもしていたそうです。

 

食べたいものをモリモリ食べるのは間違いなく元気の秘訣。特にシニアになってからは、多少うるさい好みにも、栄養管理しつつ応えてあげたいですね。

 

歳とともに⋯

ダックス

食事以外にも、年齢とともに色々な変化が訪れます。どんな対応をされてきたのでしょう。

 

「腰が悪くなったときには、足の滑り止めやジャンプ防止のために、床やソファ、ベッド回りに対策をしました。

 

床の滑り止めに使ったのは100均のシートです。ロイは壁寄りを歩く習性があるので、そこだけシートを敷くと、ちゃんとその上を歩いてくれました。

 

最初は肉球シールを試したんですが、剥がすのが大変だったのでシートにしたんです」。

 

滑り対策は大切ですが、リフォームしたり床中にシートを敷いたりするのは大変。また、肉球シールなどが合わない子もいます。

 

試行錯誤してロイくんの習性をうまく取り入れたオーナーさんのように、愛犬を良く観察して、最適な方法を見つけたいですね。

ダックス

 

「ソファには段差が小さくなるようステップを置いていましたが、それでも辛そうになってきたとき、ソファには乗らないようにしつけました。

 

逆にベッドは足を外してマットレスだけにし、楽に乗れるようにしています」。

 

ソファもベッドもだめ! とはせずに、段階を踏んでソファ離れさせつつ、ベッドは残してあげる。

 

アメとムチではありませんが、きっとロイくんも納得できたのではないでしょうか。

 

愛犬に厳しくし過ぎない、そして自分や家も大変になり過ぎない、そのバランスが、お互いにストレスの少ない暮らしに繋がっています。

 

明るい介護生活のヒント

ダックス

足腰だけでなく、トイレや視力にも変化がありました。

 

「2年くらい前から、トイレが惜しい感じになってきました。少しはみ出したり、トイレに向かう途中でしちゃったり。

 

そのままでは家にもダメージがあるため、マナーウェア(お腹に巻くバンドタイプ)をつけることにしました。お尻まで覆うオムツは嫌がったので。

 

夜はだいたい朝までぐっすり寝るので外していますが、やっぱり時々はそそうしますね」。

 

最初はトイレに失敗すると叱っていたオーナーさん。でも、怒るより受け入れる方がご自身もストレスがないことに気づき、叱るのはやめたそうです。

ダックス

 

「目が見えなくなったことも大きな変化でした。当初は心配でしたが、“部屋の配置を大きく変えたりしなければ大丈夫”と病院で言われて。

 

本当に翌日には落ち着いたので良かったのですが、色々なところによくぶつかるようになりました。

 

そこで、壁の角など危ないところには、ベビー用コーナーガードを付けています」。

 

コーナーガードはウレタン素材のものを両面テープで貼るタイプですが、テープ跡が残らないよう、壁と両面テープの間にマスキングテープも貼っているそうです。

 

オーナーさんの気持ちや家の環境も大事にすることで、空気がポジティブになる。

 

すると、ロイくんも自分の変化を“悪いこと”と思い過ぎずに受け入れられる。

 

シニアと暮らし、介護する上で、とても参考になるやり方だと思います。

ダックス

 

受け入れることで愛おしく

ダックス

ロイくんが自分の変化を受け入れたように、オーナーさんもロイくんの変化を前向きに受け入れています。

 

「これまでできていたことができなくなる、それがシニア犬と暮らすということなのだと思います。

 

でもその分、ごはんを食べてくれたとか、いいウンチが出たとか、以前は特に何とも思っていなかったことが、すごい喜びになるんです。

 

大変なことも、受け入れればそれが愛おしいことになるというか。毎日の体調や食事、トイレの記録を読み返しては一喜一憂しています(笑)」。

ダックス

 

オーナーさんはその受け入れ方、心持ちの変化を、“自分の成長”だと言われました。

 

愛犬も、自分と愛犬の関係もずっと変わってほしくない。シニアの入口に立った愛犬を見て、そう考える方は少なくないと思います。私もそうでした。

 

でも、愛犬のシニアライフを充実させる秘訣は、もしかしたら一緒に変わっていくことにあるのかもしれません。

 

愛犬は歳とともにできることが限られてくる。でもその分、自分が成長していくから大丈夫!

 

そんなふうに思えたら、日々の暮らしがぐっと前向きになるのではないでしょうか。

 

尊重するという愛し方

ダックス

最後に、こんなに長生きで元気なロイくんを、どんなふうに育ててこられたのか、改めて振り返っていただきました。

 

「特別なことは何もしてないんですが、強いて言うならロイの性格を尊重したことでしょうか。

 

初めての犬だったこともあり、最初は私も“かわいい!”とたくさん構っていましたが、年を重ねるとロイのことがだんだん分かってきて。

 

ずっと一緒にいたい、遊びたいという子ではなかったので、ひとりでいたいときはそのままにして、一緒にいたいときはいつでもおいで、という感じに落ち着きました。

 

色々考えた上でやっていたわけではないんですが、一緒に生活する中でロイのことを理解していったというか。

 

ロイを尊重して、愛情も距離も適度に接したことで、ロイもあまりストレスを感じずに生きてこられたのかもしれません」。

ダックス

 

 

人間の気持ちより犬を尊重する。言葉にするとシンプルですが、実践するのは本当に難しいことだと思います。

 

かわいく愛おしい相手に、構いたい、構ってほしいと思うのはとても自然で強い感情。人間より素直に応えてくれる犬が相手なら、なおさらですよね。

 

そんな気持ちを少し抑えて、相手が自分のペースでいられるよう一歩引いてみる。そして見守る。そのとき愛犬は、どんな姿を見せてくれるのでしょう。

 

真に相手のことを思えたとき、ほんの少しずつ見えてくるもの。ともに生きる上で一番大切なものは、そういうものなのかもしれません。

ダックス

 

取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)

 

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