2021年12月15日2,225 ビュー View

【取材】死の淵から何度も生還した「19歳半のジェイ」。生きる力を支えるのは食欲と姫のような誇り高さ

12歳を超えても元気なダックスを、憧れと敬意を込めて“レジェンドダックス”と呼ぶことに決定! その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドダックスの肖像』です。今回取材させて頂いたのは19歳6ヶ月のジェイちゃん。何度も呼吸不全を起こしながらも、そのたびに飼い主さんも驚く復活劇を見せてきたジェイちゃんの強さの根源とは。

レジェンドダックス

ジェイちゃんのプロフィール

ダックス

年齢&性別

19歳の女の子(2002年6月22日生まれ)

体重

3.4kg

大好きなこと

食べること。特に柿や梨などの果物が好物。

既往歴

・10歳のとき乳腺腫瘤摘出手術。同時に避妊手術、約10本の抜歯。

・12歳のとき細菌感染が原因で歯の状態が悪化。再び数本を抜歯。

・19歳のとき、何度か呼吸不全を起こすも、その度に回復。

 

10歳までは病気知らず

ダックス

 

19歳のジェイちゃんは、マイペースな女の子。オーナーTさんご夫妻、10歳のケンケンくん、3歳で双子のジジちゃん、トトちゃんの3頭のダックスと暮らしています。

 

骨型のガムとお出かけが大好きで、10歳までは病気知らずだったジェイちゃんですが、10歳で乳腺腫瘤になり、摘出手術をすることに。

 

「ダックスは歯が弱い犬種だと知らなかった」というTさん。

 

6歳から定期的なスケーリングと、日常的には歯みがきガムをあげていましたが、10歳以降は歯周病に悩まされ、この手術のとき、ついでに歯石がひどい歯やグラついていた歯もまとめて約10本抜きました。

 

しかしその後、残した歯の状態が悪化。

 

細菌に感染して顔が腫れたり、頬に膿で穴が開いたりしたため、12歳で再び数本を抜歯。今は3本の歯が残るだけになっています。

 

食欲不振には、あずき&甘酒

ダックス

 

18歳直前、食欲不振になり体重が大幅に減少した時期がありました。丸1日何も口にしないので、補液の注射を打ちに病院へ通っていたそう。

 

「このときは、どうにかして食べさせようと必死でした。

 

固形物を受けつけないときには、野菜やお肉、果物などをペースト状にしたものを、シリンジを使って口の端から入れてみました。

 

気に入って舌をペロペロしてくれると、嬉しかったですね」

 

さつまいもやエナジーチュールなどいろいろ試した中で、ジェイちゃんが特に気に入ったのが甘酒。

 

「あずきを煮てブレンダーでつぶし、甘酒と混ぜて漉したものをあげていました」

 

それを飲み始めると、体調がだいぶ回復したそうです。

 

 「お灸が効いたのか、甘酒がよかったのか、歯の痛みが治まったのか…。

 

何が効果があったのかわからないのですが……」と、理由は分からないないものの再び食欲が戻り、ご夫婦で大喜びしたそうです。

 

突然の呼吸不全に。レントゲン検査では肝臓が真っ白

ダックス

それは19歳の誕生日も無事に迎え、4回目の緊急事態宣言が明けた今年の10月、ジェイちゃんの体調が安定してきたので、旅行の計画をしていた矢先でした。

 

ある日、ダックスたちを連れて車で近所の公園へ行く途中のこと。

 

舌をベローンと出したまま、ジェイちゃんがひっくり返ってしまいます。

 

お水が苦手なジェイちゃんのために、慌てて肉汁で風味を付けた水を舌につけたところ、ペロペロとなめてくれました。

 

「病院に電話で説明し、すぐに連れて行くことにしました」

 

ダックス

 

病院へ向かう車内で「ギャーン」と悲鳴に近い叫び声をあげるジェイちゃん。幸い、ベロンと出て白くなった舌は水を飲ませたら回復、病院に着いたころには薄ピンク色に戻っていたそうです。

 

レントゲン検査をしてみると、肝臓が真っ白……。しかしジェイちゃんの容態を考慮し、エコーや超音波検査もできない状態のため、詳細は分からず。

 

心不全の薬はすでに上限量まで服用していたため、投薬で打つ手はなし。

 

「そこで、酸素室を借りておくことにしたんです」。

 

これが、このあと何度もジェイちゃんを救うことに。

 

「その後、しばらくしたら、再び呼吸不全を起こして…。舌は真っ白になり、脱糞、嘔吐、けいれんを起こしたので、祈るような気持ちで酸素カップをしっかりと鼻に当てたんです。

 

翌日もまだぐったりしていましたが、乾いた舌の上に流動食のカロリーエースを乗せたらペロペロとなめてくれました」。

 

ダックス

 

その後も酸素カップを当てたままリビングで寝かせていたところ、ママさんが柿を食べだすと、ジェイちゃんも食べたがったそう。

 

「目と耳は衰えてしまったけど、嗅覚はすごいんです。キッチンで梨を切っていると起きてきたりして(笑)」。

 

心配症のママさんをよそに、ジェイちゃん本人はケロっとした様子で大好きな柿をほおばったそうです。

 

呼吸不全の原因を減らすために、ごはんをチェンジ

ダックス

 

その後、体調は少しずつ安定。

 

旅行は無理でも近場ならお出かけできるかな?と思っていたある日、またしても呼吸不全が起きます。

 

「うんちをうまく出せなくて、くるくると回っているときに、みるみる舌が真っ白になって。

 

あわててリビングに寝かせたら胃液のようなものを吐き、悲鳴をあげたかと思うと軽いけいれんを起こしました」。

 

もうダメかも……と思いながら、ママさんはジェイちゃんに酸素カップを付けてひと晩見守りました。

 

ダックス

 

すると、翌日には再び復活。その強い生命力にまたしても驚かされたそうです。

 

そこで、消化不良で下痢が続いたときに獣医師から勧められた消化器系ケアのドライフードは極限まで減らし、消化のいいごはんに変えてみることに。

 

「個人的なイメージですが、消化器系のカリカリは脱糞が多い気がしていて……。

 

シニア向けのパウチや、デビフシリーズの缶詰やパウチなどをあげていたら、ふんばりが少なくていい感じです」。

 

みごと、ママさんの勘が功を奏してくれたエピソードでした。

 

シニア犬との暮らしは、できるだけ心穏やかに

ダックス

 

ジェイちゃんのひとつ下だった同居犬のタイガくんは、多臓器不全で2018年に15歳で虹の橋を渡りました。

 

「ジェイとケンケンには悪いんですけど、タイガがいなくなった後のペットロスが本当にひどくて。

 

やれることは全てやったし、後悔はありません。ただ、もっと生きてくれると疑わなかったので、まさかジェイより先に逝っちゃうなんて……」。

 

深い悲しみの底にいたママさん。タイガくんの49日を迎えるころに出会ったのが、双子のジジちゃん&トトちゃんだったそうです。

 

当初、ママさんは双子を迎えることに消極的でした。

 

しかし、パパさんに「どちらか1匹がよそに渡ったら、離れ離れになってしまう。一緒にいさせてあげなきゃかわいそうだよ」と言われ、双子を迎える決断をしたそうです。

 

 

ダックス

 

かねてからお姫様気質だったジェイちゃんは、元気いっぱいの双子がやって来ても、特に気に留めない様子だったとか。

 

「双子の相手もしなければ、気にもしないんです。タイガやケンケンが来たときも、“私は関係ないわ”って感じで、別格でしたね(笑)」。

 

シニアのジェイちゃんと、10歳のケンケンくん、やんちゃ盛りの双子ちゃん。4頭のダックスとの暮らしは、「何しろ楽しい!」とママさんは、幸せそうに話してくれました。

 

「ジェイの調子が悪いときには、ほかの3匹が横にいてじーっと見ててくれたりするんですよね。病状は深刻だけれど、その様子を見ていると、気持ちを少し朗らかにしてくれます」と、ママさんの方がダックスたちに癒されているのだそう。

 

「主人からは“そんなに神経質になるな。ジェイは大丈夫! 

 

何かあったときだけ手を差し伸べればいい。できるだけ心穏やかにいることが大事だ”って、いつも言われています。飼い主がバテちゃったら、終わりですからね」。

 

食べることは生きること

ダックス

 

ママさんが考えるジェイちゃんの長寿の秘訣は、「彼女の生命力と食いしん坊なところ」だそう。

 

「もうダメかも…と思っても、好きなものを口元に持って行くと、ペロペロするんです。

 

食べることは、生きることなんだなぁって思います。若い子たち用のごはんに鶏肉を用意していると、スンスンとにおいをかいで待っていたりします(笑)」。

 

18歳のころから完全に目が見えなくなりましたが、姫のように誇り高いところも、ジェイちゃんの強さのようです。

 

「自分でトイレに行こうとしても間にあわなかったり、寝起きは足がもたついていたので、一度オムツをはかせてみたんですけど、よっぽど嫌だったみたいで。次からは、足取り軽くターッと行くようになりました(笑)」。

 

ダックス

 

それに、必要以上に手を出されることも嫌がるそう。

 

そんなジェイちゃんに、ママさんは「これ以上頑張らなくていいよって、伝えたい」と言います。

 

「我々のために頑張ってくれてるのなら、無理をさせたくないと思っています。

 

去年の18歳のお誕生日は、主人と誕生日を迎えられたことを大喜びしながら“これが最後だね”って言ってたくらいですから。19歳の今は、あっぱれ!ですよ」

 

ダックス

 

食いしん坊なだけでなく、若い子たちの前ではしゃきっとしていたいという“姫のプライド”が、ジェイちゃんの長寿を支えているのかもしれません。

 

Tさんにとっては、もどかしい想いを抱えつつも、健気に頑張る姿は愛おしさもひとしおでしょう。ダックス4頭とのにぎやかな暮らしが、1日も長く続きますように。

 

ダックス

 

この記事の公開直前、1212日午前10時にジェイちゃんは急逝されたそうです。19歳と半年のあっぱれ!過ぎるレジェンド、ジェイちゃんのご冥福を心からお祈りします。

 

 

取材・文/都丸優子

 

★「#レジェンドダックス」で投稿お待ちしています!

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