2023年4月20日2,059 ビュー View

【取材】19歳の今でも大好物はケンタッキー!好き放題に食べてきた「ロビン」を支えるのは愛の力

12歳を超えても元気なダックスを、憧れと敬意を込めて“レジェンドダックス”と呼ぶことに決定! その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドダックスの肖像』です。今回登場するのは、19歳の男の子、ロビン。めいいっぱい甘やかされて育ち、16歳までは人間のおやつも普通に食べていたという食生活ながら、レジェンド年齢に到達したロビンくんの長生きの秘訣について伺いました!

ロビンくんプロフィール

ダックスフンド

年齢&性別

19歳の男の子

体重

5.9kg(MAX 6.9kg)

大好きなこと

食べること、女の人に甘えること

既往歴

・7歳で膀胱腫瘍。

・11歳頃から白内障が進み、14歳で失明。

・16歳の時、眼に異常が出て脳疾患が疑われるも原因は不明。

・17歳で急激に体調が悪化。食欲も落ち、一時は危険な状態に。

 

“やりたい放題”からの転身

ダックスフンド

 

今回ご紹介するロビンくんは、若い頃好き放題に何でも食べてきたという異色のレジェンド。19歳の今も『ケンタッキーフライドチキン』が大好きという驚きのシニアです。

 

「今は身の部分だけですが、若い時は皮も脂も食べていました。それどころか、人間のおやつも何でも食べていたそうなんです」(山本さん=以下「」内同)。

 

オーナーの山本さんがロビンくんと出会ったのはご主人と結婚された時。ロビンくんはもう13歳で、まだ元気ではあったものの、白内障もある立派なシニアでした。

 

それまでご主人と共にお世話をされていた義両親が、ロビンくんをかなり甘やかしてしまったらしく⋯。

 

ダックスフンド

 

「お医者さんにいつも怒られていたのですが、ハイシニアになって病気も出てきた時、“お菓子をあげているうちは治りません!”と言われて。

 

流石にその時は、何とか“あげたい気持ち”を抑えてもらうよう、主人から義両親に口酸っぱく言ってもらいました」。

 

可愛がるあまり、ついつい何でもあげたくなる気持ちも分かります。ですが、身体に影響が出てしまってはそうも言っていられません。

 

それからは山本さんが中心になり、食生活を真剣に見直すことに。ロビンくんが16歳の時でした。

 

フードとの格闘

レジェンドダックス

 

ごはんは仔犬の頃から、かかりつけ医に勧められた『ロイヤルカナン』のドライフードがメインだったロビンくん。

 

ほかに色々と食べていたこともあり、ずっと減量用の『満腹感サポート』だったそう。それが16歳まで続きました。

 

「16歳からは、病気が増えて血液検査の数値も悪化していましたし、フードの食い付きも悪くなっていました。

 

そこでお菓子などを控えるのはもちろん、フードも変えることにしたんです。

 

まずはドライフードを色々試しましたが、どれも長くは続かず、17歳になった頃にはドライはまったく食べなくなりました。

 

それで次はちょっと高いお惣菜みたいなフードを試してみたのですが、それもすぐに食べなくなってしまって。

 

どうしようと思ってお医者さんに相談し、栄養があって脂肪が少ない鶏肉を何とかして食べさせようということになりました。

 

その先生はちょっと個性的で面白い方で、“犬は肉だけでいい! 理想は一日に兎1羽”という持論をお持ちでした(笑)」。

 

ダックスフンド

 

それから山本さんの悪戦苦闘が始まります。鶏肉を煮たり焼いたり、飽きが来たら味を付け、それでも飽きたらもう少し濃い味に⋯。

 

そんな試行錯誤が続き、土日はほぼフード作りで終わる生活。腱鞘炎やバネ指も発症して、山本さんの方が限界に近づいてしまいます。

 

食べてくれれば⋯

ダックスフンド

 

そこで再びお取り寄せフードを探した山本さん。最初の当たりは鶏の生肉でした。

 

「『帝塚山ハウンドカム』の生肉を、少し焼いてあげてみました。生のままだと当時のロビンには負担があるかもと思って。すると焼くだけでいい匂いがして、味付けなしでも食べてくれました。

 

その後は時々馬肉や鹿肉も使い、味変トッピングとして『HITOWAN』のキューブをスープにしてかけたりもしていました。

 

それでもやっぱり食べたり食べなかったりがあるんですよね。去年の前半は不安定で、後半は安定してたり、先月は爆食期だったり。

 

今はお肉を食べなくなってきて、『黒兵衛』のりんごチャーハンがメインなのですが、よく食べてくれて本当に助かっています」。

 

犬のごはん

 

手作りはしなくてよくなったものの、試行錯誤の苦労は変わりません。急に食べなくなった時のため、いつも数種類はフードをストックしているそうです。

 

また、身体に良くおいしいフードは高額のものが多く、基本はクール便で送られてくるため、送料も相当なもの。

 

ですが、“子どもを一人育てていると思えば⋯”と、出費は惜しまず、とにかく食べてくれるものを求める日々が続いています。

 

“生きる力”で復活!

ダックスフンドと家族

 

ロビンくんの食の転機になった16歳の体調不良。それまでの病歴も含めて詳しく伺いました。

 

「最初に大きな病気をしたのは7歳の時です。血尿が出て病院に行くと、膀胱に腫瘍があることが判り、手術で切除しました。術後の病理検査では良性でした。

 

その後11歳から14歳くらいにかけて白内障が進み、両眼とも視力を失ってしまいました。

 

次が16歳です。眼が上にズレているような感じになって、病院では脳の病気が疑われると言われたものの、検査もその後の手術等も負担が大きいため、詳しい検査はしませんでした。

 

それでてんかんに備えて坐薬をいただいたのですが、“何があるか分からないので覚悟はしておいてください”と言われ、この時だけは泣いてしまいました」。

 

幸いこの時は発作等なく、2〜3日で眼の症状も収まります。その後は、脳に作用して炎症や病気の進行を抑える薬を、月に1日、時間を空けて4回注射するという治療を続けました。

 

ダックスフンド

 

それから4カ月後と8カ月後に同様の症状が出たものの、何れも大事には至りませんでした。

 

ただ、8カ月後の診察時に行なった血液検査で、かなり悪い結果が出てしまいます。

 

「生きているのが不思議と言われるくらい肝臓の数値が悪くて。その後、17歳の9月に急に元気がなくなり、ごはんも食べなくなってしまいました。

 

日に一度食べるかどうかで、3日間液体だけという時もあり、薬も飲めない状態で。下痢や嘔吐、震えなどの症状も出ていて、お医者さんからは“年内持たないかも”と…。

 

もう検査も手術もできないので、ただただロビンの生きる力を信じるしかありませんでした」。

 

苦しい時期が1〜2カ月は続きましたが、まさに“生きる力”で徐々に回復。少しずつごはんを食べ、薬を飲み、半年余りで食欲が安定するまでに復活しました。

 

大変な時もあるけど、ポジティブな気持ちで…

ダックスフンド

 

復活後のロビンくんは、良性の脂肪腫や、免疫力低下による炎症などはあったものの、比較的安定した時期が続いています。どんなシニアライフを送っているのでしょう。

 

「病気して以降、夜にトイレで起きることが多くなりました。外でしかしないので、1〜2時間置きに連れて行っています。シニア期のお世話としてはこれが一番大変ですね。

 

昼間も同じような間隔でトイレに行くのですが、ロビンの居場所に見守りカメラを置いているので、自営で近くにいる主人が様子を見てトイレまで連れて行っています。

 

オムツは、股間の辺りに大きい脂肪腫があるので着け辛く、ロビンも嫌だろうと思って着けていません。

 

あとは部屋中に100均のクッションを置いたり、角にはプチプチを巻き、動線の床にはヨガマットを敷いています。

 

まだ徘徊とまではいかない感じなので、サークルに入れたりはせず、自由に歩かせていますね」。

 

ダックスフンド

 

一番大変だという夜中のトイレ。睡眠不足はもちろん、2階から階段を降りて対応するため、体力的にもきつく、イライラしてしまう時もあるそう。

 

それでも、ロビンくんとの関係を良好に保ちたいと、できるだけポジティブな気持ちで接することを心がけています。

 

秘訣は「私の愛」!

ダックスと飼い主

 

そんな山本さんですが、ポジティブでいられるのはロビンくんのおかげでもあるのだとか。

 

「16歳からは体調が悪いことも多かったんですが、ロビン自身、気持ちは全然ヘコんでないんですよね。そんなロビンを見ていると、 “クヨクヨしても仕方ないよ”と私の方が教えられてる気がして。

 

だから私も、病気の時は根拠もなく“私が付いてるから、何とかするから任せといて!”と励ましていました。

 

普段も毎日10分以上背中にひっついて、“大好きだよ”とか“大丈夫だよ”とか言ったり。

 

そういうポジティブな雰囲気づくりやストレートな愛情表現も、元気や長寿に繋がっているのかもしれません。

 

あと、秘訣といえば食べる楽しみも。“食べることは生きること”というくらい、この子の生きる力になっています。

 

全然食べられなかった時期を経ているので、今は何でもいいから食べてくれればという感じです。もちろんお医者さんにも相談していますし、本当に何でもではないんですが。

 

それから、この子は留守番をしたことがなく、常に家族が誰か一緒だったので、寂しさのストレスはまったくなかったと思います。

 

そう思うと家族愛に満ちた幸せな犬生ですよね。それに老後には降って湧いたように私が現れ、こんなに愛情たっぷりにお世話されて(笑)」。

 

ダックスと家族

 

小さい頃から犬と一緒に寝るのが夢で、初めてロビンくんと寝た時の感動は今も忘れないという山本さん。

 

少し照れながらも、長生きの秘訣はズバリ“私の愛!”と言い切られるくらい、渾身でロビンくんに愛情を注いできました。

 

一緒に過ごした時間は短くても、山本さんの愛があったからこそ、ロビンくんは “やりたい放題”からレジェンドに転身できたのですね。

 

取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)

 

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